AKAI MPC LIVEⅢが発売された2025年の年末あたりに、SP-404MKⅡを買った私です。
それは敢えての判断でした。私が個人的に「サンプラー(パッド)を叩いて音楽を作る」という行為に求めるのは、身体性から生まれるリズムの揺らぎ、DAWのステップ入力には生み出しづらい「アナログ感」といったところ(グルーヴともいうのでしょうか)です。
MPC LIVEⅢという最新機種は、MPC LIVEⅡと比べて、よりオールインワンかつスタンドアローン機材としての進化を遂げました。特に、ぱっと見で目立つのは、シーケンサー的な機能強化によってボタンが増えたことや、MPE対応により目新しいデザインとなったパッド。
情報解禁時は、できることの多さに非常に感嘆しました。が、どうも私がMPCに求めるものとは違う方向性に進化していった印象を受け、物欲は確実に刺激されつつも、購入は見送ったわけです。(ただただ価格が高かっただけという話もある。)
一方、私がこの度購入したSP-404MKⅡは、今(2026年3月現在)から約4年前に発売された機材です。
発売当時、「人気で手に入らない」「転売価格がやばい」といった情報が行き交い、それによって物欲が沸々と刺激されたことを覚えています。しかし、私はその対抗馬ともいえるMPC LIVEⅡを購入しました。オールドスクールなサンプラーの代名詞ともいえる「MPC」に憧れがあり、人生で一度は使ってみたいと思っていたのです。
MPC LIVEⅡは幾度のソフトウェアアップデートを経て、いわゆるオールドスクールな機材としてのMPCらしさを保ちながらも、ハイテクでデジタルなスタンドアローンDAW機材としての存在を確立していきました。しかし、2025年のMPCソフトウェア3.0へのアップデートでプチ事件が起きます。これまで何十年と受け継がれてきた「シーケンス」をベースとした制作フローから脱し、一般的なDAWと同じような「トラック」の概念をベースとする制作のスタイルが導入され、ビートメイクのフローが大きく変化したのです。
思い返せばそのアップデートがあった頃から、AKAIさんの目指す進化の方向性に対して、個人的にはすれ違いを感じるようになっていた気がするのですが、その違和感は、MPC LIVE Ⅲの登場とともに明白になりました。
冒頭に述べたように、私がサンプラーに求めているのは、「アナログ感」なのです。
提供を受けたビートメイカーの方々がMPC LIVE Ⅲを叩く姿をみると、欲しくなっちゃうのは間違いないのですが、見た目の雰囲気や、デモンストレーションで叩いている曲のテイストなどは自分の好みと違うかな〜という印象を持ちました。
そんなもやもやとしていたタイミングで、「進化がいい感じのところで留まっている」SP-404MKⅡがふと目に止まり、この度、私の物欲の受け皿となったのです。
覚えることが楽しくもあり、辛くもあるSP-404MKⅡ
90年代の電子機器っぽく、コンパクトなボディに詰め込まれたさまざまな機能と、それらを呼び出すために用意された多くの「ボタン同時押しコマンド」。グリグリとつまみを回し倒すキモい動きがカッコよく見えるエフェクト操作。コマンドをたくさん覚えて、グリグリ、サクサクと小気味よくビートメイクする職人感。SP-404MKⅡが持つそれらの要素は、私が求めていた「アナログ感」に通づるものでありました。
SP-404MKⅡを購入して半年ほど経ちますが、その点では間違いのない選択だったと思っています。
しかし、一つ読み違えていたことがありました。このアナログ操作感というのは、覚えるえるのがめちゃくちゃ大変だということ。アラフォーでアルチューのおじさんにしてみると、ビートメイクに必要な一連の手順を覚えるのに、まぁまぁハードルが高い機材だなと感じたのが正直なところでした。
その点、MPC LIVEⅡはタッチスクリーンがある分、直感的に操作ができていたのか…と、SP-404MKⅡを触ってみて、初めてその有り難みがわかった気がしました。
SP-404MKⅡ初心者あるある?
MPC LIVEⅡ含め、一般的なDAWとはそもそもの構造や理念(?)が異なる気がするSP-404MKⅡ。
「ビートメイクする」という目的は同じでも、より「サンプラー」として地に足がついて揺るがない頑固さを感じるというか、多少手間がかかるところがLofiであり、アナログ感であり、多くの人がハマるポイントなのかなとも感じます。
例えば、「ドラムパターンを流しながら、ギターリフを外部入力で空きパッドに録音する」という、音楽制作の過程でよくある工程を踏もうとした時、一般的なDAWであれば、ドラムパターン(ドラムトラック)を流しながらギタートラックを録音すれば良いだけなのですが、SP-404MKⅡではそう簡単にはいきません。SP-404MKⅡの場合、「RESAMPLE」という機能を使って、「ドラムパターンを再録音するついでに、空きパッドに外部入力のみを録音する」というやり方になるのです。それは、SP-404MKⅡがあくまでも「サンプラー」であることを強く表現している作業工程のようにも思います。
このような、SP-404MKⅡの「構造」を理解するには、なかなか直感的とはいかず、ググったりYouTubeをみたりして、SP-404MKⅡの基本操作を学ぶ日々を要したのは、きっと私だけではないはず。。
さらに、人は誰しも、勉強しただけでは定着せず、実際にビートメイクをしながら数々のコマンドを実践的に覚えていくことになるわけですが…アラフォーでアルチューのおっさんだからなのか、なかなかモチベーションが続かない!!アイディアを即形にしづらい!!
あぁ、むずい。
そんな感じで、早々に壁にぶち当たり、購入して3ヶ月ほど経つ頃には、だんだんと、SP-404MKⅡに触れる時間が少なくなっていきました。
AI時代、マニュアルは読むな。NotebookLMにぶちこめ。
そんなある日、モチベーション救世主が現れました。
それは「NotebookLM」というGoogleの提供する無料のAIツールです。
NotebookLMは、ChatGPTやGeminiのようなweb情報をソースとするAIと違い、こちらから提供した資料(pdf、画像、音源、URLなど)だけを情報ソースとし、こちらの問いに対して回答を返してくれる、というもの。
勘の良い方なら、もう私が次に何を言うかお分かりでしょう。
私が提言するのは、ずばり、
SP-404MKⅡの公式マニュアル(pdf)をNotebookLMにソースとしてぶち込め!!!
ということです。
もう本当にこれだけで、いちいち操作方法について調べるためにネット検索をする、という手間がなくなります。
「このボタンは何?」といった辞書のような使い方しかり、「他のDAWでできる操作を、SP-404MKⅡでどのように実現するか?」という逆引き辞典としての使い方もできます。
例えば、先述の「ドラムパターンを流しながら、外部入力を空きパッドに録音する方法」というのも、NotebookLMに聞けば一発で教えてくれます。他にも、「パターンチェーンについて教えて」とか「一曲を仕上げる方法を教えて」など、SP-404MKⅡ初心者ならぶち当たるであろう問題に対して、即時、公式マニュアルに則った正確な情報を元に、回答をくれるのです。
ちなみに、Gemini課金勢の私は、上に挙げたようなSP-404MKⅡの操作方法について、Geminiに質問したことがあります。すると、Geminiは普通に嘘をついてきました。Gemini の回答通りに試しても問題が解決せず、Google検索をしてみて、結果、Geminiが嘘をついていたことがわかる、というAI体験として一番最悪なパターンを一度ではなく何度も経験しました。どうやら、GeminiはMKⅡではなく旧機種であるSP-404SXなどの情報を拾ってきて、それらしく回答していたようでした。
AIは課金したからといって、正しい情報をくれるわけではない。そんな学びを得た経験でしたが、これを元に閃いたのが、NotebookLMの活用であったともいえます。
私はNotebookLMを使うようになってから、作曲モチベーションが回復し、SP-404MKⅡでビートメイクを楽しむことができるようになりました。
もう一度言いますが、NotebookLMは無料で使えるツールです。いますぐスマホアプリをインストールしましょう。
まとめ
以上、SP-404MKⅡ初心者の同士の方々に向けて、「SP-404MKⅡを買ったら、まずNotebookLMにマニュアルをぶちこめ!」という、タイトル通りの内容を長々と書き連ねてみました。
なお、この方法は他の機材・家電・ガジェットなどにもそのまま適用できると思います。
今流行りのMPC LIVE Ⅲ、また、未発売ですが話題沸騰中のMPC SAMPLEなんかも、おそらくアラフォーでアルチューのおじさんには、なかなか習得するまでにきついものがあるんではないかと勝手に想像しています。
いつの日か、物欲に負けてそれらを購入してしまう時がきたら、迷わずにNotebookLMへマニュアルをぶち込みたい所存です。
と、ここまで書いてみて思いつきましたが、機材を購入せずともマニュアルはダウンロードできるので、「こういうことができる?」など事前にNotebookLMに質問して、機材購入の判断材料にすることもできそうです。
この記事が、AI時代を生き抜く、サンプラー好きの方々の参考になりましたら幸いです。

コメント